集客施設とは、何らかの目的をもって人々が集う施設になる。商業施設としての集客施設が成功する要因とは、施設がもたらすサービスの魅力とその集客力、顧客による支出の大きさにある。かつまたこれは、当該施設の立地点(大消費地、人口集中地区に近く、集客しやすい立地点)、その施設への道路アクセスや周辺インフラ、鉄道等の大量輸送機関等の環境が整っていて、始めて機能することになる。この意味では、確実に集客が見込まれる大量集客施設の設置を考える場合、周辺区域のインフラ開発を平行的に考慮し、これを同時に実現したり、関連しうる施設やインフラとの一体開発を狙ったりする場合も多い。これに着目し、集客力のあるカジノ施設を核にしながら、関連する地域開発や地域振興を実現する施策を企図し、民による投資誘致や官民による連携、官による一部追加的インフラ整備等をうまく組み合わせ、カジノを核とした地域開発として複合観光施設を企図し、これを実現した事例も多い。
かかる考え方から、都市における特定地域の再開発や地域振興を企図しつつ、これを担う民間主体を誘致し、開発、投資を担わせ、またこれがもたらすシナジー効果を狙うわけである。この核となる施設としてゲーミング・カジノ施設を位置づけるという考え方で、効果的な地域開発に成功した事例が多く、近年注目を浴びつつある。大きな投資効果があるとともに、集客力、話題性、支出効果や経済的なシナジー効果を発揮できやすいという理由による。ではなぜ、ここにカジノが必要なのか、という声もあるだろうが、集客の要、あるいはプラス・アルファーとしての収益貢献要素として、エンターテイメントは優れて高い経済効果を示すことが想定され、事業性を増すことに確実に貢献するからである。
これは、コンセプトとしては下記の如き内容になる。
① 地域開発のシンボル的施設ともなる、どこにも無い、誰もが行ってみたいような観光複合施設を実現する:
都市や観光地において、観光のメルクマールとなるような巨大観光複合施設を考え、その中核施設としてゲーミング・カジノ施設を位置づけるコンセプトになる。ホテルやコンベンシン施設、劇場施設等多様な集客機能やアメニテイーを具備した施設群になり、これをもって都市再開発の要、シンボルとし、観光客をひきつける要素とし、集客のシナジーを狙うわけである。投資規模や、効果の最大化を図り、民の資金を活用しつつ、地域再開発を企図する場合が多い。
② 周辺インフラとの一体整備・一体開発を官民連携で実現し、効果を最大化する:
同時に、周辺地域の一体整備や、関連インフラ設備の共同整備を企図し、施設周辺の道路やインフラ整備の分担を施行者に要求し、短期間で、地域全体の一体開発を狙う工夫を前提とする場合が多い。尚、場合によっては民間事業者が分担する所掌は、公共施設や一部公共インフラ施設や公益施設をも含むことがある。
③ ゲーミング施設は中核施設、但し、全体の中では限定的な施設とし、これが全てではない。あくまでも一つの重要な要素とする:
全体床面積のうちの3~5%以下が所謂ゲーミング賭博施設となり、大きな施設とはならないが、それでも核となる施設で、集客力を高め、全体の商業施設群の事業性を高める効果をもたらすことになる。かかる基本コンセプトは賭博行為の否定的側面を縮小化し、住民や国民の支持を取得するのに効果がある。
④ 投資と消費のシナジー効果をあらゆる面で期待する:
シナジーは民~民の施設においても実施できるわけで、一つの投資が他の投資を呼び込むような仕掛けを考え、地域全体に対し、投資が活性化することを考えることになる。一旦施設群が完成した場合、様々な施設に対するニーズが、消費のシナジー効果をももたらし、地域全体を活性化することに繋がると期待できる。
統合リゾート(Integrated Resort)とか、MICE施設(~Meeting, Incentive Tours, Convention, Exposition~会議、奨励ツアー、コンベンション、展覧会等複合施設)という表現で、これら施設が語られることも多いが、複合化された集客機能を集中して一箇所に投資し、地域全体の再開発や経済振興を実現する施策でもある。かかる手法が着目されているのは、これら機能の集合化により、極めて大きな経済的インパクトをもたらすことが実際の施設により確認されているからである。尚、この場合、制度や規制の観点からは、賭博行為が提供される区画や面積、施設及び活動を特定化し、この区域における様々な活動を特例的に規定し、規制することになる。