定期的に一定期間仕事を休み、休暇をとり、どこかに遊びに出かけるというのは今や庶民にとっての日常的な生活の一部でもあろう。リゾート施設とは、休暇や余暇やリクリエーションのために一定期間そこに滞在し、提供される様々なアメニテイーを楽しむという余暇施設類型になる。宿泊、飲食、スポーツ、エンターテイメント、観劇、映画、食事、ショッピング等、特定の場所における滞在自体を楽しみながら、様々な遊び、余暇の要素を組み合わせて、飽きさせないしかけを考えるわけである。滞在と共に、遊びも重要な余暇の一つの構成要素になり、これら全てが提供される施設類型がリゾート施設でもあろう。デステイネーション・リゾート(Destination Resort)とは、施設群それ自体の中に顧客を満足させるこれら全ての要素を内在しているような滞在型のリゾート施設をいう。この場合、必ずしもかかる施設が一定の観光資源の近くにあり、これら観光資源に依存したリゾートである必要はなく、人工的にこれを創りだす出すこともできる。例えば都市部や都会に設置されるリゾートという考えも当然存在する。また、このデステイネーション・リゾートは、その施設群の中において、飲食、宿泊、スポーツ、エンターテイメント、ショッピング等が十分楽しめ、多様な楽しみと遊びが提供され、滞在期間中そこから外に出る必要もないサービスを顧客に提供できるという性格も保持する。
特に規模が大きな施設群をメガ・リゾート(Mega Resort)などと呼称するが、この場合にはカジノ、ゴルフ・コース、テーマ・パークや多様な宿泊施設及びその他の様々なアメニテイー施設をも含むことになる。米国ラスベガス市のストリップ地区にある諸施設は典型的なメガ・リゾートと呼称されているが、個別施設自体にテーマ性をもたせ,様々な無料のアトラクションを道路や町並みの中で提供し、当該地域に滞在すること自体を顧客にとり一つの滞在目的とすることに成功している。滞在することを目的として、顧客が集まってくるわけである。
この施設群の特徴は下記にある。
① 一定期間滞在できる高規格の宿泊施設と共に、顧客を楽しませることのできる様々な余暇のためのアメニテイー諸施設が存在することが前提になる。個人のみならず、家族を主体にし、多様な遊びやエンターテイメントが存在することがその特性でもある。顧客を惹きつける魅力が施設自体に存在し、そこへ余暇、遊びのために行ってみたいとする目的を顧客に抱かせ、集客できることがリゾートとしての要件でもあろう。またリピーターを来させる仕組みや魅力があることもその属性の一つとなり、これがあり、初めて持続的なリゾートになるといえる。
② 町や集客施設全体に一つのテーマ性が存在することも一つの共通的な特性になる。施設、サービス、アトラクション等がもたらす魅力が、全体のコンセプトとして集客施設群に反映されており、宿泊施設自体にもテーマ性をもたせている。これにより、話題性を提供し、飽きさせない魅力により集客力を高めていること、施設の集積性や施設がもたらすシナジーがあることもデステイネーション・リゾートを構成する一つの重要な要件になる。
③ これら施設や施設群のテーマ性、無料アトラクションやエンターテイメント等は本来、カジノ施設に顧客を呼び込むための一つの手段として考えられていたのだが、これ自体が目的化し、集客効果をもたらしたといえる。またこれが、カジノを含む多様な施設への集客力を高め、多様なエンターテイメントを提供できるファミリー・リゾートへと進化したことになる。
我が国の東京デイズニーランドや大阪ユニバーサルスタジオ等は典型的なデステイネーション・リゾートともいえる。一方、諸外国ではこれらアミューズメント系のリゾートトともに成人向けのエンターテイメント(カジノ)を含むリゾートがあると共に、ファミリーを対象とした多様な多種多様なリゾートも多い。ゲーミング・カジノは、この中に、多種多様なエンターテイメントの一つとして組み込まれ、一般化し、その大衆化が進んでいる。勿論制度や規制の側面では、全く別であり、関連するゲーミング区画は別途厳格な管理や監視の対象になるという事実に変化はない。